近ごろ、日本を含(ふく)めてさまざまな国で異常気象(いじょうきしょう)が発生(はっせい)しているのはみなさんもお気づきかと思います。僕たちの住むこの日本でも、平成14年(2002年)は大変(たいへん)暑い夏であったのに、次の年、平成15年(2003年)では、寒い夏が続き、作物が育たず野菜などが高くなったことも覚えているかと思います。今年は雪が全然降らなかったり(暖冬※だんとう)で、地球に何かが起きているのは間違いないのではないでしょうか。
日本だけではなく、たとえばヨーロッパでは、からっとした涼(すず)しい風が特徴(とくちょう)の夏であったのに、平成15年のとき、私たちがよく知っている湿度(しつど)の高い蒸(む)し暑(あつ)い夏となりました。なんと200年ぶりの猛暑(もうしょ)だったのです。サッカーの強いことでおなじみのフランスでは40度を超(こ)える気温(きおん)となったのです。そして、残念(ざんねん)なことに、この猛暑のためになくなられた方が15,000人もおりました。また、水のおいしいアルプス山脈(さんみゃく)で有名なスイスでは氷河(ひょうが)が溶(と)けてしまい、3年で100メートルも削(けず)られてしまいました。
世界中で異常気象が続発(ぞくはつ)した平成15年(2003年)の日本はどうだったのでしょうか。Tシャツでは肌(はだ)寒い日々が続きましたよね。例年にない冷夏(れいか)となりました。このため、畑の作物が育たず、レタスが1個350円になったり、野菜の高騰(こうとう※値段が高くなる)が目立ちしましたね。いつもは150円くらいで買えたのにです。このとき平成5年に起きた「米不足」を思い出した方も多かったでしょう。「夏はさむく、冬はあたたかい」このような現象(げんしょう)が当たり前に感じてくるようになりました。冬が暖(あたた)かいと雪が降らなくなり、豪雪地帯(ごうせつちたい)である新潟県(にいがたけん)などでは、冬が過ごしやすくなるため喜(よろこ)ばしいこともあります。でも、雪が少ないと、春の雪どけによる水が望(のぞ)めなくなり、強(し)いては水不足へとつながる問題(もんだい)になりかねないのです。異常気象が続くと、いままで普通(ふつう)にできていたことが、できなくなることもあり、僕たちの暮らしが一変(いっぺん)してしまうおそれが出てきてしまいます。
異常気象による問題は僕たちの暮らしの変化(へんか)に与(あた)える影響(えいきょう)だけではありません。動物(どうぶつ)、植物(しょくぶつ)、昆虫(こんちゅう)、など自然界(しぜんかい)にも大変(たいへん)大きな影響(えいきょう)を与えてしまいます。例(れい)を挙(あ)げますと、沖縄(おきなわ)の海(うみ)で赤(あか)くきれいに広がる珊瑚礁(さんごしょう)。これが異常気象により水の温度(おんど)が上がってしまい、あざやかな紅(あか)色が白く濁(にご)ってしまう現象(げんしょう)が発生(はっせい)しています。暖(あたた)かくなることで南極(なんきょく)や北極(ほっきょく)の氷河(ひょうが)が溶(と)けてしまい、海面(かいめん)が上昇(じょうしょう)しているというニュースもよく聞きます。ついひと昔前(むかしまえ)まででは、研究者(けんきゅうしゃ)の間(あいだ)で氷河(ひょうが)は永久(えいきゅう)に残(のこ)ると言われていたのですが、これでは遠くない未来、氷河が溶けてなくなってしまうかもしれません。
このような異常気象を引き起こす原因(げんいん)はいろいろありますが、やはり一番(いちばん)大きな原因は「地球温暖化(ちきゅうおんだんか)」です。地球温暖化とは簡単に言いますと、地球の平均的(へいきんてき)な気温(きおん)が上がることをいいます。もうひとつ、異常気象の原因といわれるのが「ヒートアイランド現象(げんしょう)」です。「地球温暖化」+「ヒートアイランド現象」により東京や大阪のような大都市(だいとし)の気温が大きく上昇する原因といわれています。
ヒートアイランド現象とは、東京や大阪のような大きな都市で問題視(もんだいし)されている、気温の高くなる現象です。なぜこのような大きな都市で気温が上がってしまうかと言いますと、エアコンなどの機械類(きかいるい)によりエネルギーを大きく消費(しょうひ)し、熱(ねつ)を大気(たいき)に放出(ほうしゅつ)するからです。アイランドは日本語で島(しま)という意味(いみ)になります。ヒートは熱(ねつ)。まるで熱の島のようだというたとえから「ヒートアイランド現象」と呼(よ)ばれています。