トップページ >> エネルギーが使(つか)われているシーン >> 火力発電(はつでん)と水力発電
電気をつくる発電方法は、灯油やガソリンなどの化石燃料による資源(しげん)による方法のみではありません。現在、電気を生み出す発電の方法として「火力発電」「水力(すいりょく)発電」「原子力(げんしりょく)発電」の3つが主力となっています。他に「風力(ふうりょく)発電」などもありますが、今回はこの3つの発電について紹介します。
この3つの中で火力発電が、発電所(はつでんしょ)の建設(けんせつ)や発電時にかかるお金が安いなどの理由から、一番多く利用されています。とくに、アメリカ、ヨーロッパや日本などの先進国では、電力の約6割が火力発電によってつくられています。
火力発電の仕組み(しくみ)は、化石燃料(かせきねんりょう)を燃(も)やしたときに出る熱エネルギーで水を熱(ねっ)し、水蒸気(すいじょうき)にします。この水蒸気により、タービンと呼ばれる大きな風車(ふうしゃ)のようなもの(羽根車(はねぐるく))を回すことで発電します。
ただ、羽根車を回すために使われる水蒸気を生み出すためには、化石燃料によって熱エネルギーをつくりださなくてはいけません。化石燃料は限りある資源であるため、将来、手に入らなくなる可能性(かのうせい)もあります。
また、化石燃料を燃やすと大気(たいき)に悪影響(あくえいきょう)を与える有がい物質(ぶっしつ)が発生(はっせい)します。これにより大気汚染(たいきおせん)が生(しょう)じてしまい、地球温暖化問題(ちきゅうおんだんかもんだい)につながってしまいます。これは、健康(けんこう)への悪影響や酸性雨(さんせいう)の原因(げんいん)となる硫黄酸化物(いおうさんかぶつ)や窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)などの有がい物質排出(はいしゅつ)は世界中で深刻(しんこく)な問題となってきました。現在は、有がい物質を除去(じょきょ)するための大きな装置(そうち)を取り付けたり、煙突(えんとつ)を高くするなどの対応(たいおう)により、可能な限り大気汚染を防止(ぼうし)する対策(たいさく)が行われています。
火力発電の二酸化炭素排出問題(にさんかたんそはいしゅつもんだい)
火力発電の大きな問題に二酸化炭素排出問題がついてまわります。これまでの火力発電の方法では、一次エネルギーである化石燃料を熱に変えるための効率(こうりつ)が悪い上、無駄(むだ)な二酸化炭素を吐(は)き出す原因(げんいん)にもなっています。現在ある火力発電の平均的(へいきんてき)な能力(のうりょく)として、生み出される電気エネルギーに対(たい)して、もとである一次エネルギー(化石燃料)の約40%しかなりません。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出(はいしゅつ)問題ですが、火力発電による二酸化炭素排出が主な原因の一つになるほどなのです。このため、できるだけ二酸化炭素を排出せずに、かつ、一次エネルギーをより効率よく発電するためのさまざまな努力が行われています。
火力発電は、発電設備(せつび)として主力ですが、化石燃料を利用していることで、さまざまな問題を含(ふく)んでいることをお話ししました。
水力発電では、ダムに水を多く溜(た)めておき、その水を一気に放出(ほうしゅつ)することで、水車(すいしゃ)をまわし発電します。高いところから水が流れるときの力を利用しています。かつて火力発電が主力になる前は、日本では水力発電が主力でした。しかし、発電にかかる費用(ひよう)の安い火力、そして原子力などに現在は押されている状況(じょうきょう)です。
しかし、火力発電に必要な化石燃料や原子力発電に必要なウランなどのような限(かぎ)られた資源を利用しない水力発電は将来(しょうらい)に発電ができなくなるという心配(しんぱい)もなく、また、二酸化炭素を排出するなどの有がい物質の問題もありません。さらに、水力発電は一度つくってしまうと、火力発電や原子力発電と比(くら)べ、長く使うことができます。
しかし、いくら二酸化炭素などの有がい物質を排出しないからといっても環境(かんきょう)に影響を及(およ)ぼしていないというわけではありません。水力発電を行うためにはダムの設置が必要なのですが、山や森林の生態系(せいたいけい)を崩(くず)すかもしれないという問題があります。
また、現在、日本では水力発電に適(てき)した場所(ダム設置に適した場所)がもう残(のこ)されておらず、これから新たに水力発電所をつくることは難(むずか)しいと言われています。