トップページ >> エネルギーの問題解決(かいけつ) >> エネルギーに関(かん)する「3つの問題(もんだい)」(1)
いま、世界の人口がすごいスピードで増(ふ)えていっています。1960年の世界の人口が30億(おく)人であったのに対(たい)し、2000年には60億人を超(こ)えています。とくにアフリカや東南アジアなどの発展途上国(はってんとじょうこく)と呼ばれる国々の人口増加がたいへん大きくなっています。発展途上国は先進国(せんしんこく)に比(くら)べ経済(けいざい)が発展(はってん)しておらずエネルギー消費も少なかったのですが、生活水準(せいかつすいじゅん)が年々上がっていき、いままでは暮らしの中に必要最低限(ひつようさいていげん)のもので生活していたところに、車や電気製品(でんきせいひん)が入り込み、利用されるようになりました。そのため、エネルギー消費が大きくなってしまったのです。
世界規模(きぼ)の人口の増加と発展途上国のエネルギー消費の増加という問題により、石油、石炭や天然ガスなどの化石燃料(かせきねんりょう)が不足(ふそく)してきています。また、これらのような化石燃料を大量(たいりょう)に使用することで二酸化炭素(にさんかたんそ)などの大気汚染物質(たいきおせんぶっしつ)が排出(はいしゅつ)され、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)や大気汚染(たいきおせん)などの問題がおこり、地球環境(ちきゅうかんきょう)への負担(ふたん)がまずばかりとなります。
地球環境の破かいをおさえるために、現在使用されているエネルギーの消費を減らし、経済の成長を止めるだけでは、環境問題の根本的(こんぽんてき)な解決(かいけつ)に至(いた)りません。
発展途上国の経済が発展してきているとはいえ、まだまだ経済成長していない貧(まず)しい国々も多くあります。先進国が豊(ゆた)かな暮らしをしている中で、発展途上国の貧しい国々の経済成長を抑(おさ)えるような取り組みを行うことはできません。しかも、貧しい国々ほど働(はたら)く人手が多く必要です。それに伴(ともな)って、人口が増加する要因(よういん)にもなっています。
世界規模でみると、先進国の人口増加は年々減っていっています。したがって、発展途上国は、人口増加を抑えるためにも、人々の生活水準を段階的(だんかいてき)にあげていく必要があります。
また、貧しい暮らしをしている人々の中には日々の生活で手いっぱいで、環境問題(かんきょうもんだい)まで考えた暮らしを行うことができません。必要以上の森林伐採(しんりんばっさい)や木を燃やしてしまったりしてしまいます。このように自然を犠せい(ぎせい)にしないことには、生活に必要な資源(しげん)や農作物(のうさくぶつ)を取得(しゅとく)することが難(むずか)しくなり、生きていくことが困難(こんなん)となってしまいます。
したがって、こうした貧(まず)しい生活を強いられている地域(ちいき)では、貧困(ひんこん)のために環境破かいが繰(く)り返(かえ)されているという悪循環(あくじゅんかん)を生み出しています。環境破かいを抑えるためにも、先進国が先頭(せんとう)になって、世界中で協力(きょうりょく)を行い、発展途上国の生活水準を上げていく努力を行わなくてはいけません。
現在、世界で取り組まれているエネルギー問題は3つあります。その問題とは、「経済の発展」「資源・エネルギーの確保(かくほ)」「地球環境の保全(ほぜん)」です。これらの問題を総称(そうしょう)して「エネルギーのトリレンマ問題」と呼んでいます。また、それぞれのアルファベットの頭文字(かしらもじ)をとって「3E問題」とも呼ばれています(経済:economy 資源:energy 環境:environment)。
トリレンマとは、3つの達成(たっせい)したい目標(もくひょう)があったとき、その3つの関係(かんけい)が複雑(ふくざつ)であるために、一方(いっぽう)が解決(かいけつ)しそうなったら、一方に問題があったりなど、どれかひとつだけに取り組みが行われても、ほかの目標が達成できず、結局は問題が悪化(あっか)してしまうという難(むずか)しい状況(じょうきょう)であることです。
ぼくたちが抱(かか)えているエネルギーのトリレンマ問題は、まさしく「あちらを立てればこちらが立たず」な状態(じょうたい)です。これら3つの問題をすべてクリアするような夢のような解決方法はまだ確立(かくりつ)していません。また、これは決(けっ)して、発展途上国だけの問題ではありません。日本を含めた世界全体が直面(ちょくめん)している、大きな問題なのです。
エネルギーに関する「3つの問題」(2) に続きます……。