「地球は青かった」という言葉(ことば)が有名(ゆうめい)ですが、人類史上(じんるいしじょう)初(はじ)めて月に降(お)り立った宇宙飛行士(うちゅうひこうし)が地球を見て、そのように発言(はつげん)しました。宇宙(うちゅう)という暗闇(くらやみ)の空間(くうかん)で、地球が青い海と白い雲でかたどられている姿(すがた)はたいへん美(うつく)しいものだったに違(ちが)いありません。この地球には僕たち人間はもちろん、動物(どうぶつ)や植物(しょくぶつ)などさまざまな「生物(せいぶつ)」が共存(きょうぞん)しております。地球は大気(たいき)につつまれていますが、その成分(せいぶん)の約8割(わり)は窒素(ちっそ)で生成(せいせい)されています。次(つ)いで約2割は僕たちの呼吸(こきゅう)に必要な酸素(さんそ)です。この2種類の成分で実に99%を占(し)めていることになります。そして残りの1%には地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の最大要因(さいだいよういん)である「二酸化炭素(にさんかたんそ)」が含(ふく)まれています。地球の75%は水で作られています。水と言いましても、液体(えきたい)だけではなく、氷といった固体(こたい)も、霧状(きりじょう)の気体(きたい)も含まれています。水の状態変化(じょうたいへんか)がすべて共存(きょうぞん)している太陽系(たいようけい)の星はほかにはなく、唯一(ゆいいつ)、地球のみとなっています。故に地球は別名『水の惑星』と呼ばれるほどです。
太陽から届(とど)く光の中にはさまざな種類(しゅるい)があります。大きく分けると僕たちの目に見える光と、見えない光の2種類があります。僕たちに見える光を可視光線(かしこうせん)と呼んでいます。この可視光線は、地面や海に熱(ねつ)を与(あた)えますが、光は白いものに当たると反射(はんしゃ)するものですから、雲や雪などにぶつかると、再(ふたた)び上空(じょうくう)を越(こ)え、宇宙へ戻っていきます。また、暖(あたた)められた地面からはもう一方の僕たちの目に見えない光(赤外線※せきがいせん)が放出(ほうしゅつ)され、同じように宇宙へ戻っていきます。
このように、宇宙へ戻ろうとする熱を吸収(きゅうしゅう)する働(はたら)きかけを行うのが、空気中に含まれている二酸化炭素、メタンガスや水蒸気(すいじょうき)などです。これらの大気の成分が熱を吸収することで、空気を暖めます。二酸化炭素などの気体が熱を吸収し、空気を暖める効果(こうか)が、まるで、野菜(やさい)や花を育てるビニルハウスのような温室的役割(おんしつてきやくわり)をしているところから、この現象(げんしょう)を「温室効果(おんしつこうか)」と呼んでいます。二酸化炭素やメタンガスなどは「温室効果ガス」と呼びます。
太陽から届く光(熱)と地球から放(はな)たれる熱(光)のバランスは非常(ひじょう)によく保(たも)たれています。一方が強くなりすぎると、地球の気温の均衡(きんこう)が破(やぶ)られてしまいますが、このバランスはどういうわけか、大変良いバランスとなっています。そして、このバランスを保つ役割(やくわり)で「温室効果」は大変大きな役割(にな)を担っています。
大気中の二酸化炭素が増加すると、それだけ温室効果が強くなることになります。それが地球温暖化(ちきゅうおんだんか)につながっています。温室効果が弱くなると寒くなり、強くなると暖かくなります。いままではバランスの良い温室効果でしたが、最近は化石燃料(かせきねんりょう)の大量消費(たいりょうしょうひ)により、大気中に二酸化炭素が急激(きゅうげき)に増えたため、バランスが崩(くず)れ始めているのです。
二酸化炭素が増えた最大の原因(げんいん)は灯油、石油やガソリンといった化石燃料の消費(しょうひ)によるものです。では、「化石燃料の利用を控(ひか)えればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、僕たちの生活には切っても切り離(はな)すことができないのです。テレビ、冷蔵庫(れいぞうこ)やパソコンなどの家電(かでん)・電気製品(でんきせいひん)などで必要とする「電気」は化石燃料から作られているのです。電気がなくては、僕たちの生活は成り立ちませんよね。しかし、電気を利用すればするほど、大気に二酸化炭素が排出(はいしゅつ)されてしまい、温室効果が強まる原因となります。もちろん、自動車(じどうしゃ)や飛行機(ひこうき)なども燃料が石油である以上、二酸化炭素を排出(はいしゅつ)します。1990年から異常気象(いじょうきしょう)が増えたのも、急速(きゅうそく)に地球温暖化が進んだためといえます。僕たちの生活は昔(むかし)に比(くら)べると信じられなくらい便利(べんり)になりました。しかし、便利になればなるほど、二酸化炭素の排出量(はいしゅつりょう)は増えていく一方です。
生命の誕生(たんじょう)した地球は「奇蹟の星(きせきのほし)」と呼ばれていますが、地球の環境(かんきょう)に似(に)ていると言われる別の星に「金星(きんせい)」と「火星(かせい)」があります。金星は地球と比べ、大気の濃度(のうど)が約90倍もある(二酸化炭素が96%を占めています)ため、温室効果(おんしつこうか)により地面の温度は480℃を超(こ)えます。実は遙(はる)か昔、金星にも海があったのですが、太陽から近い金星は、熱により海が蒸発(じょうはつ)してしまいました。さらにその水蒸気(すいじょうき)により温室効果が一層(いっそう)強まってしまい、金星から水分がなくなってしまいました。一方、火星は、地球に比べ大気が160分の1しかありません。二酸化炭素がほとんどないため、温室効果がなく、太陽の熱の当たらない夜では氷点下(ひょうてんか)125℃以下まで気温が下がります。このように生命が誕生する可能性(かのうせい)のある太陽系(たいようけい)でも、厳(きび)しい環境(かんきょう)であるため、生命(せいめい)が生まれなかったのでしょう。