農業を営んでいる村の川-地球温暖化

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都会(とかい)(都市(とし)の中心(ちゅうしん)など)に流(なが)れる川は、生活排水(せいかつはいすい)による汚染(おせん)が激(はげ)しいことをイメージできますが、都会(都市)よりも上流(じょうりゅう)に位置(いち)する、畑(はたけ)や田んぼをつくっている村などでの川はきれいなのでしょうか?

農業を営んでいる村の川は都会の川と比較(ひかく)するときれいだといえます。以前(いぜん)、ぼくの住(す)んでいる地域(ちいき)より田舎(いなか)(失礼(しつれい)だけど)に遊(あそ)びに行ったとき、流れている川がたいへんきれいだったという印象(いんしょう)が残(この)っています。しかし、実(じつ)はよくみると田畑(たはた)の側(そば)を流れる川は、なかなか汚(よご)れていました。これはなぜでしょうか。農村(のうそん)とはいえ、住宅(じゅうたく)やちょっと離(はな)れたところに工場(こうじょう)があるためでしょうか。しかし、住宅が少なく、離れたところに工場のない農村でも川が汚れているのをみることがあります。農村の川の汚れは都会とは違(ちが)って原因(げんいん)があるのです。

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農薬や化学肥料が原因で川が汚れる-地球温暖化

農業を営んでいる村の川の汚れは、そのものずばり「農業(のうぎょう)」や「畜産物(ちくさんぶつ)」が原因となっています。農業や畜産物などは、ぼくたちが生きていく上で大変(たいへん)重要(じゅうよう)な食料(しょくりょう)をつくりだすことなのですが、この作られ方がここ十数年(じゅうすうねん)でかなり変貌(へんぼう)しました。これは、品種(ひんしゅ)の改良(かいりょう)、農地(のうち)の開発(かいはつ)、農具(のうぐ)の機械化(きかいか)や化学肥料(かがくひりょう)を使用(しよう)することにより、おいしいものを多く作ることができるようになったのです。

これらのような農作物(のうさくもつ)が1回の収穫時(しゅうかくじに)に大量(たいりょう)に取(と)り入れることができるのは、たいへん魅力的(みりょくてき)なことです。しかし、これら農業の近代化(きんだいか)によりさまざまな問題点(もんだいてん)が浮(う)き彫(ぼ)りになってきました。

農作物に有がいな虫を除去(じょきょ)するための農薬(のうやく)をたくさん使用(しよう)することにより、農薬に含(ふく)まれる有がい物質(ゆうがいぶっしつ)が土を汚染(おせん)するのです。そして、農薬で汚染された土に雨水が流(なが)れ込(こ)むと、それが後(にち)に川に流れ込みます。また、より多く収穫(しゅうかく)するために化学肥料をたくさん使用すると、植物(しょくぶつ)に行き渡(わた)る予定(よてい)であった肥料成分(ひりょうせいぶん)が土へ残留(ざんりゅう)してしまいます。そして、肥料成分が雨水とともに川へ流れ込んでしまいます。これらの過程(かてい)を経(へ)て肥料成分を含んだ雨水が川に流れ込むと、富栄養化(ふえいようか※下に説明(せつめい)あります)をつくりだす原因(げんいん)となります。すると、プランクトンが大量(たいりょう)に発生します。

また、農業を営んでいる村の川が汚れる原因はほかにあり、たとえば、豚(ぶた)や牛(うし)などの家畜(かちく)がだす排泄物(はいせつぶつ)が川に流れてしまったり、傾(かたむ)いている土地の田んぼや畑から、大雨が原因で土砂(どしゃ)が川に流れ込んだりと、いろいろあります。

※富栄養化(ふえいようか)……化学肥料に含まれる「リン」や「窒素(ちっそ)」などの栄養分(えいようぶん)が、川の流れのゆるやかな下流(かりゅう)、または湖(みずうみ)に流れると通常状態(つうじょうじょうたい)の水にある栄養分よりも多くなるため「富栄養化」と呼びます。プランクトンといった微生物(びせいぶつ)が大量に発生(はっせい)すると、水の中の酸素不足(さんそぶそく)が起(お)きるため、他の生物が生きていけなくなるという問題(もんだい)が発生します。

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川の下流だけでなく上流もピンチ!?-地球温暖化

さて、さらに上にいってみて上流を流れている森林地帯(しんりんちたい)の渓流(けいりゅう)はどうでしょうか。渓流は流れが激(はげ)しく、水も透(す)き通(とお)っていてとてもきれいです。一目(ひとめ)見た感(かん)じでは汚(よご)れているようには見えませんね。しかし、実はこの渓流でさえ汚染が始(はじ)まっているのです。 昔(むかし)の森林地域(しんりんちいき)とは、人間(にんげん)と自然(しぜん)のバランスがとれているという環境(かんきょう)でした。森林地域に住(す)む人々の生活は何百年(なんびゃくねん)もの間(あいだ)、川または他の自然とうまくやっていたので、川を汚すということがありませんでした。

しかし、ここ数十年(すうじゅうねん)でこの関係(かんけい)が崩(くず)れていきました。道路(どうろ)ができたり、鉄塔(てっとう)がたてられたりするなど、これまで森林地域には存在(そんざい)しなかった人工物(じんこうぶつ)が存在し始めました。こういった都市部(としぶ)と同様(どうよう)の人工物が森林地域にできてしまうと、森林地域内で都会の人間の活動(かつどう)が活発化(かっぱつか)します。すると生活も都市部と同じようにしますので、汚染が懸念(けねん)されるのです。

道路ができることで、車を使ってキャンプで遊びに来た若者(わかもの)がゴミを川に流したりするので、渓流の汚染がはじまったのです。

また、森林の質(しつ)にも問題があります。今日(こんにち)では、天然林(てんねんりん)が減少(げんしょう)し、植林地(しょくりんち)が増加(ぞうか)しています。植林(しょくりん)の管理(かんり)は、定期的(ていきてき)に人間が行わなければ、その土地があれてしまいます。したがって、天然林と比較(ひかく)すると土が川に流れ込みやすくなり、雨が集中的(しゅうちゅうてき)に降(ふ)ったりすると、大量の土砂が渓流に流れ込んだりするのです。

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