ぼくたちの日本では、ひとりの水を使(つか)う量(りょう)が1日で約2,000リットルといわれています。この数値(すうち)には工場(こうじょう)、商店(しょうてん)から水田(すいでん)などで使用される水の量も計算(けいさん)されているのですが、家で使(つか)う場合(ばあい)でも、お風呂(ふろ)のお湯(ゆ)をはるのに約300リットル、水洗(すいせん)トイレで1回水を流す毎(ごと)に約10リットル、洗濯(せんたく)には約30~80リットル、ご飯したく・食器洗浄(しょっきせんじょう)に約60~80リットルの水が使用されるといわれています。このように、家庭(かてい)だけでも1日だけでこれだけの水が使用されているのです。
ところが、世界をみてみると約60億(おく)人の人々のうち45億人の人々は、1日にひとりあたり、約30リットル以下(いか)の水の使用量(しようりょう)なのです。そして、この多くの人々は、水の使用すら困難(こんなん)である状況(じょうきょう)にいるのです。
アフリカのケニアでは、1日たったの5リットルで生活して行かなくてはいけないという村も存在(そんざい)します。水が不足している地域(ちいき)では、水をめぐる争(あらそ)いが起きているところもあります。こうした水不足により苦(くる)しんでいる地域(ちいき)は、アジアやアフリカなどに多く、31カ国でおきているのです。
こうした国々(くにぐに)では水不足により、農業(のうぎょう)にも大きな打撃(だげき)を受けています。農作物を育(そだ)てるための水がないために、穀物(こくもつ)はおろか野菜(やさい)も育(そだ)たずに、深刻(しんこく)な食糧不足を招(まね)いています。 そして、外国の話だと思って聞いている日本に住むぼくたちにとっても決(けっ)して無関係(むかんけい)ではありません。
日本では消費(しょうひ)している食料の約6割(わり)を外国に頼(たよ)っています。日本で作っている食料は約4割にしか過(す)ぎません。そして、日本が頼っている外国の食料をつくるためには、その国では大変(たいへん)貴重(きちょう)である水を使用しなくてはいけません。これはいいかえると、日本でかなりの量の水を輸入(ゆにゅう)しているということになります。本来(ほんらい)であれば、食料を作り出している外国(現地)の人たちが、生きていくために飲まなくてはいけない水を、農業(のうぎょう)で使っているというとは、日本人が彼(かれ)らの代(か)わりに使用しているともいえるわけなのです。
地球規模(ちきゅうきぼ)の水不足の最大(さいだい)の原因(げんいん)とは、「人口増加(じんこうぞうか)」です。人が急激(きゅうげき)に増(ふ)えてきたので、水を消費(しょうひ)する量(しょう)も比例(ひれい)して多くなりました。20世紀(せいき)の100年間(ねんかん)で、世界で使われる水の量が6倍(ばい)にもふくれあがってしまいました。 人が増えると、もちろん食料もたくさん作らなくてはいけません。そのために、水がさらに必要になります。また、産業(さんぎょう)が成長(せいちょう)し機械化(きかいか)が進むと、工業用水(こうぎょうようすい)が必要(ひつよう)になるので、多くの地下水(ちかすい)を汲(く)み上げることで、水がなくなってしまったり、大きく減少(げんしょう)するということがあります。
他(ほか)の理由(りゆう)として経済的(けいざいてき)なものもあります。国が貧(まず)しいために村に井戸をつくるお金がない、ということも水が不足している要因(よういん)の一つになっています。でも、このように水不足で大変な国でも、僅(わず)かな水を、農作物(のうさくもつ)をつくるのに使うことができることもあります。そこでつくられた農作物は外国に運(はこ)ばれます。運ばれる先の多くはアメリカ、ヨーロッパや日本などといった先進国(せんしんこく)であるため、自分の国で販売(はんばい)するより高い金額(きんがく)で売れます。このようにして、お金を手に入れないと自分の国で生活していくことができないためです。
また、自然さい害が要因の一つにあげられます。干(かん)ばつは水不足の大きな原因となります。地球温暖化(ちきゅうおんだんか)により異常気象(いじょうきしょう)が増加(ぞうか)し、世界のいろいろなところで干ばつが発生(はっせい)しやすくなっています。 水不足の問題は日本に関係ないと思われている人もいるかもしれませんが、実は、すでに地球全体の問題(もんだい)となっていることを忘(わす)れないでください。