近年(きんねん)、川が汚(よご)れ始(はじ)めているということをこれまで話(はな)してきました。それでは、どのような方法(ほうほう)があれば、きれいな川を再(ふたた)び取(と)り戻(もど)すことができるのでしょうか。

きれいにする方法を考(かんが)えるためには、まず川の水の循環(じゅんかん)について勉強(べんきょう)することからはじめてみましょう。

川の上流部分といえば、ほとんどの場合(ばあい)、山しかありません。山には、上空(じょうくう)の方へ大気(たいき)が流(なが)れる上昇気流(じょうしょうきりゅう)が生(しょう)じやすくなっています。平たい地面(じめん)であれば横(よこ)に吹(ふ)くだけの風(かぜ)が、山の場合は斜面(しゃめん)にあわせて上(のぼ)っていくため、上昇気流になりやすいのです。

この上昇気流には、水蒸気(すいじょうき)がたくさん含(ふく)まれています。そのため、上空に上(のぼ)った際(さい)に、気温(きおん)が低下(ていか)するスポットに行くと、水滴(すいてき)に変化(へんか)します。このようにして集(あつ)まった水滴が雲(くも)になるのですが、雲は上昇気流の助(たす)けを受(う)けて空中(くうちゅう)に浮(う)かんでいられるのです。

こうしてできた雲からやがて、水滴同士(すいてきどうし)が合体(がったい)して、さらに大きな水滴になると、重量(じゅうりょう)が大きくなり、上昇気流で支(ささ)えきれなくなるため水滴はそのまま地面に向かっておちてきます。もうおわかりかと思いますが、これが雨の正体(しょうたい)です。雨は、ぼくたちの住(す)む平地(へいち)にも降りますが、上昇気流の起きやすい山では平地に比(くら)べ、より降りやすくなっています。

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森林地帯(しんりんちたい)で形成(けいせい)されている山に降った雨は、木の葉(は)っぱや枝(えだ)などを濡(ぬ)らしながら、地面に落下(らっか)しますが、そのまま葉っぱや枝に残(のこ)るものもあります。残った水滴は雨が上がり晴(は)れると、そのまま蒸発(じょうはつ)してしまいます。小雨(こさめ)・霧雨(きりさめ)といった少量(しょうりょう)の雨は、だいたい蒸発して、また上空に上っていきます。

地面に落下した水滴は、草や落(お)ち葉(ば)を通(とお)って、地面の中に染(し)みこみます。そしてこれが地下水(ちかすい)となります。湧(わ)き水はこうして地面に染(し)みこんだ雨水が再び地表(ちひょう)にでてきたものです。湧き水が多く集(あつ)まると、川になります。渓流(けいりゅう)や谷川(たにかわ)はこうして完成(かんせい)します。

渓流は山を離(はな)れると、ほかの川とあわさり、次第(しだい)に大きな川へと変化(へんか)していきます。そして平野部分(へいやぶぶん)を通過(つうか)し、海に流(なが)れていきます。

海に流れた川水は、太陽(たいよう)の熱(ねつ)により蒸発(じょうはつ)し、大気に還(かえ)ります。こうした水の蒸発は海(うみ)だけにとどまらず、川、湖(みずうみ)などさまざまなところで発生します。もちろん水気(みずけ)のなさそうな畑(はたけ)、森(もり)、植物(しょくぶつ)、土の中などからも蒸発は発生(はっせい)しています。

水分が水蒸気になって上空を上り続(つづ)けると、気温(きおん)が低下(ていか)する地点(ちてん)で再び水滴に戻ります。そして先ほどもお話ししたとおり、雨または雪になり、ぼくたちの住んでいる地表(ちひょう)へ降(ふ)ってきます。

このようにして、水が「形態変化(けいたいへんか)[固体(こたい)……雪(ゆき)、液体(えきたい)……雨水、気体(きたい)……水蒸気]」をしながら、地下、地上や大気の中を行(ゆ)き来(き)していることを「水循環(みずじゅんかん)」と呼(よ)んでいます。

ここでお話しした水循環を正(ただ)しく理解(りかい)することで、ぼくたちがどのようなことをするとよいかを、状況(じょうきょう)により判断(はんだん)することができるようになります。たとえば、どの部分にゴミといった不純物(ふじゅんぶつ)が発生したら、その影響(えいきょう)がどこに出てくるのか、といったことなどです。水循環の勉強こそが、まず川をきれいにする方法の第一歩(だいいっぽ)といえるでしょう。

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