古い紙の回収そして製紙工場へ-リサイクル・環境・ごみ問題

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紙のリサイクルは、木材(もくざい)をつくることも頭(あたま)に入れて、大きな流(なが)れのなかで考(かんが)えることが大切です。紙ができるまでには、まず、山の森や林から木を切り木材を調達(ちょうたつ)し、その木材からチップがつくられます。木材チップは溶(と)かすことによりパルプという原料(げんりょう)になります。そして、その原料で紙がつくられます。使用後(しようご)の紙は「古紙(こし)」という種類(しゅるい)に分別(ぶんべつ)されて、回収(かいしゅう)されます。この古紙も木材チップと同じように、パルプとして原料に戻(もど)されます。

古紙のすべてがパルプにリサイクルされるわけではありません。汚(よご)れているなどリサイクルのできない古紙は、製紙工場(せいしこうじょう)で紙をつくるための動力(どうりょく)エネルギーとして、発電(はつでん)のために焼却(しょうきゃく)されます。ご存(ぞん)じの通り紙はよく燃焼(ねんしょう)しますので、石油(せきゆ)などの化石燃料(かせきねんりょう)の節約(せつやく)につながるのです。このように燃焼させることで、エネルギーを得る(これもまたリサイクル)ことを「サーマル・リサイクル」と呼びます。ここでいうサーマルとは「熱(ねつ)の」という意味(いみ)をもちます。

古紙は回収後、古紙問屋(とんや)で選(えら)ばれたあと、製紙会社(せいしがいしゃ)の工場(こうじょう)へいきます。おおむね回収される古紙の種類は、「新聞(しんぶん)」「紙パック」「段ボール(だんぼーる)」「雑誌(ざっし)」「コピー用紙(ようし)」などになります。2002年の古紙回収量(こしかいしゅうりょう)は2,000万トンにものぼりました。これは使われた紙に対して65.4%の値(あたい)となります。そして59.6%が紙の原料(パルプ)として利用されました。

古紙の回収量や利用される割合(わりあい)は年を追(お)うごとに増(ふ)えていっています。しかし、製造(せいぞう)された紙の全(すべ)てが回収されているわけではありません。ノート、本や手紙のような一度使うと長い間とっておくような紙やトイレットペーパーやティッシュペーパーなどは回収が困難(こんなん)です。したがって、これからも古紙の回収率(かいしゅうりつ)が増加(ぞうか)しても、決(けっ)して100%になることはないのです。

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古紙がパルプになるまで-リサイクル・環境・ごみ問題

古紙が製紙工場に運(はこ)ばれると「パルパー」という洗濯機(せんたくき)を大きくしたような機械(きかい)により、繊維(せんい)へと分解(ぶんかい)されます。分解時に、古紙のなかにあるフィルといった余分(よぶん)なものを、さまざまな方法で除去(じょきょ)します。そして、インクを抜(ぬ)く作業が必要であれば、余分なものを除去した繊維に、さまざまな薬品(やくひん)を添付(てんぷ)してインクを除去して、洗浄(せんじょう)します。これらの工程(こうてい)を経(へ)て、古紙は古紙パルプへとなるのです。古紙パルプは必要に応(おう)じて、漂白(ひょうはく)されることがあります。こうしてみると、リサイクルするにもお金がかかるということがわかると思います。

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再生紙と古紙パルプの関係-リサイクル・環境・ごみ問題

古紙はパルパーという機械(きかい)で繊維(せんい)にかえられますが、リサイクルが繰り返されるごとに、繊維は短(みじか)くなり、汚(よご)れていきます。したがって、リサイクルされたパルプを多く使っている再生紙は、弱い、もろい、白さが足りない、など上質紙(じょうしつし)に比(くら)べて劣化(れっか)しています。これはリサイクルの回数(かいすう)が多いほど顕著(けんちょ)にあらわれてきます。したがって、リサイクル回数の多い再生紙は、主に漫画雑誌(まんがざっし)に利用されています。紙に必要である強度(きょうど)やホワイト度は用途(ようと)により異(こと)なってきますので、使用目的(しようもくてき)にあわせて古紙パルプの質(しつ)、または混入(こんにゅう)する割合を調整(ちょうせい)しております。

会社で使われているコピー用紙などの再生紙は質の良い古紙が多く含(ふく)まれています。しかし、会社から出る廃棄物(はいきぶつ)の量(りょう)は一般家庭(いっぱんかてい)などから比べると大量となるため、分別(ぶんべつ)にかかる手間(てま)と費用(ひよう)のことを考慮(こうりょ)し、一般(いっぱん)ごみとして処理(しょり)されてきました。しかし、今後(こんご)は会社(かいしゃ)から出るこういった上質(じょうしつ)の古紙を分別回収(ぶんべつかいしゅう)することも求(もと)められることでしょう。

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