「ゼロエミッション」について-リサイクル・環境・ごみ問題

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「ゼロエミッション」という聞き慣(な)れない言葉(ことば)がありますが、これは「エミッション=英語(えいご)で排出物(はいしゅつぶつ)」を「ゼロ=なくす」ということであり、ごみをなくそうという意味(いみ)になります。ゼロエミッションという言葉は会社や工場(こうじょう)などのサービスや製品(せいひん)を供給(きょうきゅう)する側(がわ)に対(たい)して「ごみをゼロにしよう」という意味合い(いみあい)のもと使(つか)われてきました。しかし、商品を製造(せいぞう)するのに、直接(ちょくせつ)埋め立て(うめたて)を行うごみをまったく出さないと言うことは、実際(じっさい)にできることなのでしょうか。

これは正直(しょうじき)わかりきっていることなのですが、ごみを一切(いっさい)出さないと言うことは不可能(ふかのう)といえます。しかも、ごみをださないリサイクルに固執(こしつ)することにより、逆(ぎゃく)にリサイクルにかかるエネルギーが膨大(ぼうだい)になってしまったり、効果(こうか)のない間違った(まちがった)リサイクルを行ったりなど、環境(かんきょう)に悪影響(あくえいきょう)を与(あた)えることになってしまうでしょう。産業活動(さんぎょうかつどう)を行う上で、ごみが発生すると言うことは仕方(しかた)のないことなのです。

そこで現在、会社や工場などで製品を製造(せいぞう)するときに発生する有がい物質(ぶっしつ)、ごみや熱(ねつ)などを、特定(とくてい)の会社(かいしゃ)や工場(こうじょう)だけでゼロにするのではなく、他の会社、工場や施設(しせつ)などと協力(きょうりょく)し合い、ごみを可能(かのう)な限(かぎ)りゼロへ近づけようとする考(かんが)えのもと、ゼロエミッションというワードが使用されるようになりました。生み出されるごみのうち、資源(しげん)やエネルギーとしても活用(かつよう)のできないものについては、無理(むり)にリサイクルを行うより、埋め立てを行うほうが適(てき)しているでしょう。

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産業廃棄物の活用について-リサイクル・環境・ごみ問題

会社、工場や施設などですすめられているゼロエミッションですが、実際(じっさい)には排出(はいしゅつ)される産業廃棄物はどのような手段(しゅだん)や方法(ほうほう)で活用されているのでしょうか。産業廃棄物は、同じ製品を大量生産(たいりょうせいさん)している工場などから排出(はいしゅつ)されるものですので、一般廃棄物(いっぱんはいきぶつ)と比較(ひかく)すると、同質(どうしつ)のものが出ることも多く、その点において分別(ぶんべつ)がしやすいという利点(りてん)があります。分別が行いやすいと、再利用(さいりよう)する方法も決まってくるので、リサイクル後の用途(ようと)さえ決(き)まれば、それに向かってリサイクルを行うと良(よ)いので、工場から発生する産業廃棄物はリサイクルのしやすい部類(ぶるい)に入ります。このように、商品を製造する工場からでる産業廃棄物は、他の商品の資源(しげん)となるリサイクルが頻繁(ひんぱん)に行われており、金属工業(きんぞくこうぎょう)やガラス製造業(せいぞうぎょう)など、さまざまな分野(ぶんや)でリサイクルが進(すす)められています。

また、その工場で発生した産業廃棄物を、別の工場でリサイクル処理(しょり)されることもあります。たとえば、砂糖(さとう)を作る工場では、砂糖の原料(げんりょう)となるサトウキビの芯(しん)(※ピスとよばれています)やしぼりかす(※バガスとよばれています)などが、ごみとして排出(はいしゅつ)されます。実(じつ)は、サトウキビの芯(ピス)は燃料(ねんりょう)、しぼりかす(バガス)は紙の原料になります。

紙を製造する製紙工場(せいしこうじょう)では、紙が作られるときに発生(はっせい)する「スラッジ」というドロドロしたごみがでます。これもサトウキビの芯(ピス)と同じように燃料として再活用(さいかつよう)することができます。サトウキビの芯(ピス)やスラッジを燃料として利用した場合に、灰(はい)がでるのですが、この灰はセメント工場でセメントの原料として再活用されます。

このように、砂糖工場、製紙工場やセメント工場などが協力し合うことで、それぞれの工場から出るごみがリサイクルされて、それぞれの商品をつくるための資源やエネルギーとして活躍(かつやく)しております。ごみがリサイクルされて資源やエネルギーになり支え合う(ささえあう)というこの関係(かんけい)が社会において広がることにより、ごみの少ない社会環境(しゃかいかんきょう)ができるといえるでしょう。

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