トップページ >> オゾン層(そう)とオゾンホール現象(げんしょう) >> フロンはオゾン層(そう)の敵(てき)!

フロンは理想的な化学物質だった-地球温暖化

オゾン層(そう)を破かいする最大(さいだい)の原因(げんいん)は、大気内(たいきない)に吐(は)き出されたフロンによるものです。さて、このフロンという物質(ぶっしつ)ですが、いったいどのようなものなのでしょうか?

フロンという名前は、日本で使われている名前です。正式名称(せいしきめいしょう)は「クロロフルオロカーボン(CFC:しーえふしー)」です。フロンは、自然界(しぜんかい)に存在(そんざい)しない人間がつくり出したオリジナルな化学物質です。最初は冷蔵庫(れいぞうこ)を冷却(れいきゃく)するために、昭和5年ごろアメリカで発明(はつめい)されました。

冷蔵庫の冷却として使われていたので冷媒(れいばい)と呼(よ)ばれていますが、冷媒とは圧力(あつりょく)を加(くわ)えることにより簡単(かんたん)に液体(えきたい)になり、逆に圧力を減らすと気体(きたい)になるという性質(せいしつ)をもっている物質です。物質は気体に変化(へんか)するときに周囲(しゅうい)の熱(ねつ)を奪(うば)いますので、この性質を使ってポンプで圧力を加えたり、減らしたりすることを繰(く)り返(かえ)し、物を冷却するのです。

フロンが生まれる前は、冷媒にアンモニアを使用していましたが、どくをもっていたり、火が出たり、ときには爆発(ばくはつ)の危険性(きけんせい)もありました。しかし、フロンが誕生(たんじょう)してからは、どくがなく、火もでなく、爆発したりもしない、また、金属(きんぞく)を腐食(ふしょく)させたりしないなど、いいことづくしです。

さらに、色もなければ、臭(にお)いもないなど食品(しょくひん)を冷やす冷蔵庫にはうってつけでした。そのあとには、冷蔵庫やエアコンの冷媒としてだけではなく、発泡(はっぽう)スチロールを膨(ふく)らませる際(さい)に使われる発泡剤(はっぽうざい)、半導体(はんどうたい)や精密機械(せいみつきかい)を洗浄(せんじょう)するために使われる洗浄剤(せんじょうざい)、スプレーのガスなど、ぼくたちの日常生活(にちじょうせいかつ)では欠(か)かせない物となりました。フロンは理想的(りそうてき)な化学物質といっても過言(かごん)ではありませんでした。

しかし、フロンが原因でオゾン層が破かいされると知ると、フロンの製造(せいぞう)や利用が制限(せいげん)されるようになり、そして現在は使用禁止(しようきんし)となっています。日本においては昭和63年に「オゾン層保護法(ほごほう)」を決め、フロンの製造や使用に制限を設定(せってい)しました。そして平成7年にフロンの製造禁止(せいぞうきんし)となりました。

これらの取組(とりくみ)のおかげで、現在は、大気内のフロンの量が一番多かったときに比べ少なくなってきています。ただ、まだ大気内にはフロンが残(のこ)っているので、今日でもオゾン層はフロンによって壊(こわ)され続(つづ)けています。したがって、世界すべての国や人々がフロンの製造を禁止し、さらに、フロンを大気へ混入(こんにゅう)させないためにも、フロンがかつて使用されていた冷蔵庫などの製品の処分(しょぶん)をしっかりと行う必要(ひつよう)があります。

フロンの他にオゾンに影響を与えている化学物質-地球温暖化

オゾン層を壊(こわ)す化学物質はフロンに限定(げんてい)されません。たとえば、田んぼや畑のさっ虫・さっ菌に使われる臭化メチル(しゅうかめちる)という化学物質も、オゾンをこわす原因の一つにあげられています。

フロンと同様(どうよう)、臭化メチルも大気に含まれるとこわれにくく、ずっと上空に上がっていっても残り、成層圏(せいそうけん)にまで達(たっ)します。そして、フロンと同じように紫外線(しがいせん)によって分解(ぶんかい)され臭素(しゅうそ)に変化(へんか)し、オゾンと結合(けつごう)してオゾン層をこわしてしまいます。臭化メチルについても、製造の制限や使用を控(ひか)えるようにされています。ただ、臭化メチルを使っている製品の中には、ほかの代わりとなる化学物質がみつかっていないために、やむをえなく使用しているという現状(げんじょう)があります。

  • JCCCA Web::全国地球温暖化防止活動推進センター

スポンサード リンク