オゾン層(そう)を守るための対策(たいさく)として、フロンの排出規制(はいしゅつきせい)が世界的に行われることになりました。昭和62年に、カナダのモントリオールで行われた国際会議(こくさいかいぎ)でオゾン層の破かいを防(ふせ)ぐための話し合いが行われ、「オゾン層をこわす有がい物質(ぶっしつ)についてモントリオール議定書(ぎていしょ)」が採択(さいたく)されました。そのなかで、世界の国々が協力(きょうりょく)してフロンを生産(せいさん)する数や消費(しょうひ)する量(りょう)を段階的(だんかいてき)に減らしていくということが決定しました。このモントリオール議定書は、日本も参加しており、たくさんの国が最終的(さいしゅうてき)に確認(かくにん)して同意(どうい)しました。モントリオール議定書は、その後も改正(かいせい)が行われており、規制(きせい)がさらに強くなっております。
日本の南極昭和基地(なんきょくしょうわきち)
オゾン層が危機的(ききてき)な状態(じょうたい)にあるために、世界各国(せかいかくこく)ではいろいろな方法でオゾンを観測(かんそく)しています。オゾンホール現象(げんしょう)が深刻(しんこく)な南極(なんきょく)に、日本の昭和基地(しょうわきち)がありますが、そこでは気球(ききゅう)に計測機器(けいそくきき)を取り付けて上空(じょうくう)へ放(はな)ち、オゾン濃度(のうど)を計測(けいそく)しています。また、人工衛星(じんこうえいせい)から観測を行うなど、多くのデータを収集(しゅうしゅう)し、オゾン層を保護(ほご)するための対策(たいさく)に役立(やくだて)てております。
モントリオール議定書など世界的にフロンについての取り決めに応(おう)じて、フロンといった有がい物質によるオゾン層破かいをストップさせるために、排出(はいしゅつ)について自主的(じしゅてき)に規制(きせい)する法律(ほうりつ)が、世界各国で作られました。フロンが規制されたことにより、いままでフロンが使われていた製品(せいひん)が困(こま)ることのないよう、オゾン層を破かいしない新しいフロンである「代替フロン(だいたいふろん)」という物質が製造(せいぞう)されました。ところが、この代替フロンも、よく調査(ちょうさ)をしてみたところ、結局(けっきょく)、オゾン層をこわす有がい物質が含(ふく)まれていることがわかり、代替フロンも2020年までに廃止(はいし)する予定(よてい)であります。
いままで冷媒(れいばい)としてフロンが使用されてきた冷蔵庫(れいぞうこ)、エアコンやカーエアコンは、平成7年に日本において生産中止になりました。ただし、これまでフロンが使用されてきた冷蔵庫やエアコンなどの旧タイプの物は廃棄(はいき)するときにフロンを抜(ぬ)いて回収(かいしゅう)しなくてはいけません。
日本では平成13年に4種類(しゅるい)の家電製品(かでんせいひん)についてリサイクルを必(かなら)ず行うようにするという「家電リサイクル法(かでんりさいくるほう)」が施行(しこう)されました。したがって、冷蔵庫やエアコンに使われているフロンの回収の取組が本格的(ほんかくてき)に始(はじ)まりました。
さらに、翌年(よくねん)の平成14年には車のリサイクルも義務(ぎむ)づけられる「自動車リサイクル法(じどうしゃりさいくるほう)」が成立(せいりつ)しました。これは平成17年に既に施行(しこう)されており、カーエアコンのフロンの回収が行われています。
フロンが大気に含まれ成層圏(せいそうけん)にあがるまでには、少なくとも数年(すうねん)はかかるといわれております。その数年間、フロンはこわれずに大気の中にとどまっています。フロンを作ることや使うことをやめたとしても、大気の中に含まれているフロンがすぐに消えてなくなると言うことにはつながりません。したがって、これから10数年はオゾン層がフロンによってこわされ続けることでしょう。
しかし、その後は大気内のフロンがなくなりますので、オゾン層は回復(かいふく)に向かっていくだろうと思われます。それが30年、50年先になるかもしれませんが、いま行っているフロン対策は決(けっ)して無駄(むだ)ではありません。
フロンの規制(きせい)を行った国は、まだ規制を行っていない国に新しい技術(ぎじゅつ)を教(おし)えてあげたり、回収の仕方(しかた)を広めてあげたりするなどの重要(じゅうよう)な役割(やくわり)があります。自分の国が規制を行ったからといって終わりというわけではありません。オゾン層を守る取組は地球規模(ちきゅうきぼ)で行い、フロンを根絶(ねだ)やしにしなくてはいけません。そのためにもオゾン層の様子(ようす)をしっかり観測し、見守る必要があります。